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社長日記

1978年01月05日

僕らが準備している新しいメディアについて。

僕らが準備している新しいメディアについて。

橘川幸夫

 あらゆる産業構造が大変革をとげようとしている時に、もっとも保守的、現状維持的、旧態依然としているのがメディアである。とりわけ出版メディアの保守性にはうんざりする。大出版社があり、ベテラン編集者がいて「ああ、今はこういう企画を出せば売れるだろう。この企画には、あの評論家に頼めばこういう原稿を書くだろうし、あの先生はこれが専門だからこういうコメントをくれるだろう。よし、まとまった」……といった具合に自社のおかかえライターを囲って、雑誌、なるものを作り出す。ライターに対して顔の広いのが"良い"編集者であったりする。たまには編集者のおもわくを超える原稿も集まるだろうが、大体は読者としては、執筆者の名前とタイトルをみれば「ああ、こういう事をいうな」と予想のつく事ばかりで、新鮮味などどこにもない。今、雑誌の中で、かろうじて新鮮なのは「読者のページ」というやつである。

 新聞が最近は少し面白くなった。政治面・社会面・スポーツ面は10年前とは変らない。(社説、なんてのを一体誰が読むと思ってるのだろうか。社会面でも、誰が誰を殺したとか誰か何かを盗られた、なんて情報をどうしてああもデカデカと載せる必要があるのだろう。そんな事をしても実際に殺人や泥棒が減る訳でもないのに……)。
面白くなったのは読者の苦情を追跡調査したりする、フィードバック装置が付いたからだ。あと、家庭欄も以前より充実してきたようだ。

 ラジオやテレビで「新しい面白さ」を見せてくれるのは、これまでのスター中心の番組ではなく、視聴者参加番組(欽ちゃんとか、深夜放送とか)である。

 さて僕らが準備している新しいメディアというものが想像ついたと思います。雑誌の名前はPUMP(ポンプ)と言います。ポンプとは汲みあげる、という意味です。つまりこれまでの出版側がライターを管理する、管理型メディアではなく、読者参加型のメディアです。といっても、ビックリハウスのように冗談を汲みあげるのではなく、生きている人の本音と本気を汲みあげる雑誌です。もちろん汲みあげ方=出版方法論は、いくつものアイデアを考えてあります。僕らの理念を一言でいうと、物流(物とはハードウェア)の流通革命に対して、ソフトウェアの流通革命、という事です。

 たぶん、どこの産業構造も、社会システムでも共通している問題だと思いますが、これからは、売る人→買う人、書く人→読む人、作る人→使う人 etc といった一方通行的な関係論は根底の方から崩れていきます。売る人は絶えず買う人の反応を汲みあげていないと次に売るものが決定しきれない……という具合に。システムにおけるフィードバック装置の必要性は、これまでにも数多くの人が説いていますが、その必要性は、すでに現実問題となっています。メディア情況に対する、僕なんかの考えでは、例えば、明治時代だと、文豪やインテリの書くものと、それを読む庶民や学生との知的距離、情報量的な差異は圧倒的だったわけだが、現在はさほどあるとは思えない。社会的な情報の飽和状態の中で、これまでは読まされる一方だった読者が発言したい、と思うのは当然だ。60〜70年代活字文化が不毛だったのは、こういう情況になっているのにかかわらず、発言したい、と思った人が情況を無視して自分だけが明治のインテリへ飛躍しようと思ったからではないか。だから、それを読まされるこちらとしては、ミエミエであって新鮮な興奮を覚えるなんて事はあり得なかった。

 しかし活字出版メディアには、まだまだやり残した事がある。この時代のこうした情況を、最大限に、そして効果的に使いこなしたい。あまり大口をたたいてコケるとみっともないので、とにかく僕らが準備している雑誌「PUMP」という名前を憶えておいて下さい。

※具体的な発行プロセスは、事務的・資金的な問題があって流動的ですが、遅くても年内には発行を予定しています。とりあえず、テスト版として雑誌「宝島」の60ページほどを使わせてもらう予定になっています。
※内容的な面での媒体資料は下記に請求下さい。
〒154 東京都世田谷区駒沢5-11-15 橘川方
PUMP準備室
※詳しい事を聞きたい方、広告などで協力して下さる方がいましたら電話連絡下さい。媒体資料を持参します。

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