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2006年04月13日

碧天舎の倒産・自費出版あれこれ

碧天舎が倒産して、自費出版の危うさが一気に露出しそうだ。
東京新聞のリポートがきちんとしたリポートをあげている。

ただし、東京新聞だって自費出版事業をやっているし、大手出版社や新聞社はだいたいやっている。文芸社や新風舎の急成長に合わせて、それまで批判的だった旧来型出版社も、一斉にビジネスの匂いをかぎつけて参入した。

旧来型の印刷・流通リスクを出版社が負う形態では、著者が出したい本が出せないので、著者がリスクを背負う形の形態もありえない話ではないだろう。オンブックで「カフカとキルケゴール」を刊行した中澤先生の説明のよると、キルケゴールは生涯自費出版で書籍を出していたし、カフカは生前は出版社には相手にしてもらえなかった。日本の明治・大正の名作にも自費出版はある。

インターネットが登場して情報の「発信者負担」という新しい風潮が、自費出版を出そうという気持ちをプッシュしたこともあるだろう。しかし、現在の自費出版事業は、あまりにも著者の側への負担が大きすぎるビジネスモデルである。それだから自費出版社が儲かったのだろうが、出版を知らない素人を手込めにするようなルールも少なくない。

たとえば、高額の協力金を著者が支払っているにもかかわらず、販売印税が2%とかいうルールの自費出版社がある。つまり原理的には、印税の2割を支払えば、印刷しなくても「全部売れましたよ」といえば済んでしまうのだ。通常の出版社の負担で、一般の人からは見えないコストが在庫管理の倉庫代である。在庫を早めに処分してしまえば、倉庫を持つ必要もない。

僕は、自費出版の流れは悪くはないと思ってる。編集者のフィルターを通した価値観しか書籍に出来ない出版構造は不純だし、失礼な言い方も知れないが、どのような人であれ、それなりの人生を歩めば、人に伝えたい・社会に残したい体験や思いがあるはずだからだ。
ただし「貴重な体験そのもの」と「貴重な体験を書籍として表現する」ということは別の次元の話であり、自費出版された書籍の多くが、自己顕示欲やうぬぼれのエゴの固まりでうんざりすることが多いのも事実だ。

オンブックは広義の「自費出版サポート」事業であるが、事業を開始して問い合わせのある、99%が既に著作のある人や、プロのライター・編集者である。オンブックは、著者からお金をふんだくるために(笑)おいしい話はしない。

しかし、純粋に素人の方で本を出したい人向けの合理的な自費出版ソリューションも必要であり、サービスを準備中である。

本を出したい人は、安易にお金で解決しようとしないで、まずは、自分なりに情報を集めて、出版のシクミ、手続きなどを調べてからにした方がよいですよ。書かれた原稿も、自分で何度も読み直すのはもちろん、なるべく利害関係のない第三者にも読んでもらって感想をもらってください。

オンブックでは定期的に説明会を開いています。関心のある方は連絡ください。

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» KANA
2006年05月07日 11:49

>ただし「貴重な体験そのもの」と「貴重な体験を書籍として表現する」ということは別の次元の話であり、自費出版された書籍の多くが、自己顕示欲やうぬぼれのエゴの固まりでうんざりすることが多いのも事実だ

はじめまして。同感です。書いた本人がそこまで自覚できてるかどうか、それが本にする段階と本ができた後の本人にとって、大きな問題として残ると思ってます。自分の本当の感性を知ることが先ではないでしょうか。

» 橘川
2006年06月02日 23:13

KANAさん、コメントありがとうございます。僕は、「誰もが本にすべき貴重な体験を持っている」と思います。ただ一般の人は、人生の中で「表現の訓練と努力」をしている人は少ないと思います。自費出版社の存在を否定したいのではなく、自費出版社の役割は、そうした「表現の素人さん」に対して的確な編集的サポートをすべきなのに、現実は、印刷屋さんの進行管理みたいになっていることではないでしょうか。

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